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「自分の幅を広げたい」教員からカタリバに転職したわけ

※この記事は、2019年9月24日に、認定NPO法人カタリバのオウンドメディア「KATARIBA Magagine」に掲載したものです。Wantedlyからカタリバを知ってくださった方にもぜひ読んでいただきたい記事のため、転載しました。

カタリバが運営する文京区青少年プラザb-labは、中高生が何にでも挑戦できる、日本にはまだ少ない新しいサードプレイス。そのb-labでイベントの企画運営や業務改善などを担っている齊藤楓華は、もともと埼玉県で中学校の教員を務めていました。学校の教員からNPOへの転身、その背景を聞いてみました。

認定NPO法人カタリバ 文京区青少年プラザb-lab
齊藤 楓華
1994年生まれ、埼玉県さいたま市出身。大学卒業後、埼玉県の中学校で国語科の教員を務める。その後カタリバに参画し、子どもたちの成長支援や、ボランティアメンバーの採用/マネジメントなどに従事している。

学校と先生が大好きで、
小さい頃からずっと先生になりたかった

ー前職は中学校で国語の先生をされていたんですよね
 幼い頃から先生になりたいと考えていたんですか?

そうですね、中学2年か3年の時には、もう先生になりたいと思っていました。

通っていた中学校が1,000人規模のマンモス校だったんですが、すごく荒れていたんです。もうドラマみたいに、ガラスが割れたり靴がなくなったりして。でもそんな荒れている子たちも、悪い子じゃないんですよね。エネルギーの発散の仕方が分からないだけ。先生たちもそれが分かっているので、信じてちゃんと向き合っていて。ものすごく荒れていた子も、卒業する時には、「先生ありがとう」って言って卒業していくんですよ。そういう様子を見ていて、先生たちのことをすごいな、自分もそんな風に人と関われるようになりたいなと思っていました。

あと私、学校が大好きだったんです。先生という生き物が好きで笑。

勉強も部活も生徒会もやっていたんですが、先生たちは頑張るとすごく喜んでくれて、褒めてくれて。親もそういうリアクションはくれましたが、先生たちはやっぱり一味違う。うまいというか、もっと頑張ろうと思える一言を必ずくれる、1番身近な存在でした。先生も大好きだし、クラスのみんなとも仲良くしたいから、先生とクラスのみんなの間に入って、学級運営が円滑にいくように色々動いたりするような生徒でした。

なので、すごく子どもが好きだから先生になりたいというより、学校と先生が大好きだったので、自然と自分も先生になりたいと思っていました。

多忙な日々に追われ、
理想と現実のギャップに苦しんだ

ー子どもの頃からの夢を叶えて始まった、教員生活
 どうでしたか?

1年目はとにかく楽しかったです。目に入るもの、やること全てが新しくて。中学生もみんなかわいいし、副担任でクラスを持っていなかったので、広くみんなのことを見ることができて。何より授業をしている時が1番楽しかったです。どうすればここまでたどり着いてくれるかな?とか、どうすれば好奇心を引き出せて飽きさせないかな?と考えて、授業を組み立てるのが楽しくて。設計通りのところで盛り上がったり、こんな意見が出たらいいなと思った通りの議論が進んだりするのが嬉しいんです。

自分ができることは全部出しきって、1年目が終わる頃には評価してくださる先生方もたくさんいて、充実していました。

それで2年目になってから、一気に仕事が増えました。初めての担任、2学年分の授業準備、生徒会、会計、文化祭などの行事、研究業務の主担当など、どの仕事も楽しいんです。楽しいんですけど、忙しすぎて、自分が何をやってるのかわからなくなるほどでした。平日だけでは仕事が終わらないので、土日は部活を見ながら終わっていない仕事をする、休みや余白のない日々。本当は全部100%頑張りたいのに、手が回っていないもどかしさを感じて…。

もっとやりたいのに手が回らない、実現したいことがあるのにできない…。そんな自分の力不足を痛感していたので、余計に、成長のために新しいことを学んだり、自己投資に使う時間がないことが不安になっていきました。

ー教員の多忙さは深刻で、社会的にも課題視されていますよね
 齊藤さんは忙しさと同時に、自分の理想と現実のギャップにも苦しんでいた
 そんな中で、カタリバに転職された理由はなんだったんですか?

色々と余裕がない中で、ふと、スキルや経験といった蓄えを積むために、いま別の道を選んでもいいんじゃないかと思ったんです。もちろんそのまま頑張り続ける中で成長していく道もあったと思うんですが。

新卒の時も、自分の幅を広げてから先生になる道と、まず先生になってから足りない部分を見つけて、別の場所で力をつけて先生に戻る道と、どっちがいいか悩んで後者を選びました。もともといつかは自分の経験を広げるために学校以外の仕事も経験したいと思っていたので、予定していたよりもはやいけれど、他の世界を見てみようと。

そういうタイミングに、たまたま参加したイベントで、b-labのマネージャーをしている方に会う機会がありました。しかも在学期間は重なっていないんですが、大学の先輩でサークルも一緒だったという共通点もあって。b-labの話を聞いて、興味を持ったので見学に行かせてもらいました。

見に行って、驚きました。こんなにいい場所があったんだ!と。ここでノウハウを学べば学校に持ち帰れるものがあるじゃないかと思って、選考を受けました。

いつか地元にもユースセンターをつくりたい

ー先生だった齊藤さんからみて、b-labの1番驚いた部分や
 いいと思った部分はどこだったんでしょうか。

子どもたちが「やりたい!」と発信したことを、自由に挑戦させてあげることです。

学校だと、どうしても子どもたち主体で自由に挑戦することが難しくて…。何かやるにも自分のクラスだけではなく学校全体でOKにする必要があって、他の先生たちみんなの許可をとっていかないといけないんです。もちろん重要で変えられない規則もありますし、全てに対応するのはなかなか難しい。それに先生は「タテの関係」。指導として怒らないといけないこともたくさんあります。子どもの意見を尊重して、対等に接することだけでは成り立ちません。

なので、こんなにも「これやってみたい!」「うん、OK!」みたいな、子どもと職員の関係性にびっくりしました。例えば、b-labには音楽スタジオがあるんですが、そのスタジオの機材を充実させるために、高校生が自分で必要なものを考えてプレゼンテーションして、しかもそれが通ったという話を聞いて。そういうところまで子どもの主体性を大切にするんだなと思って驚きました。

b-labでは日々、小さなものから大きなものまでたくさんのイベントが開かれていますが、どれも子どもたちの「やりたい」から始まっているんです。何事も子どもが主体で、大人はそれを応援するというか、伴走しながら一緒の方向を向く。そういうスタンスが浸透していて、すごいなと思っています。

でもこれって、ナナメの関係の人の特権というか。タテの関係の先生や親がいるからこそできることでもありますよね。子どもたちの日常には、ナナメの関係による受容も、タテの関係からの指導も、両方あることが大事だなと思います。

ーb-labで実際に働きはじめてみて、いかがですか?

今はスポーツイベントを毎月企画・実施したり、中高生がもっと利用したくなる場所にするためにb-lab全体の業務改善を担当しています。

新しいことを吸収しながら、アイデアをどんどん形にしていけることがすごく楽しくて、やりがいを感じています。子どもたちの「やりたい」を引き出して、1年目でもイベントを企画から立ち上げることができるので。中高生と話すのも楽しいですよ!東京の子たちは、教員だった時に見ていた子たちよりもちょっと大人っぽい感じがしますけど。

実はあまり指導することが得意ではなかったので、先生の役割で子どもたちに関わるよりも、私はナナメの関係の役割のほうが合っているような気がしています。

ーこれからの夢や目標は何かありますか?

b-labのようなユースセンターが日本中に増えていったらいいなと思っています。今は子どもたちは学校でうまくいかないと、それが全てなので、全部がだめなような気がしてしまう。もし学校が合わなくてもこっちでは活躍できる、みたいな選択肢があって、子どもたちが居場所を選べる社会になったらいいなって思います。

いつか地元の埼玉にb-labみたいな場所をつくるのが夢です。やっぱり顔が浮かぶので、自分が担任だったあの子にとって、b-labがあったらきっと良かっただろうなとか。別の道を選んで東京に出たことで、地元の子たちのことをほっぽりだしてきてしまったような感覚もあるので、いつかあの子たちが集まれる場所をつくりたい。実現できたらいいなと思っています。

あと、こういう子どもとの関わり方もあるんだって、先生もナナメの立場を体験してみる機会があったらいいなと思います。タテの関係なんだけど、少しナナメになってみるとか、そういう幅のある先生がたくさんいたほうが学校がもっと面白くなるんじゃないかと。多くの先生たちが限界まで気を張って頑張っているので、ナナメの関わりを体験することで、時には肩の力が抜けるというか。そうなったら素敵だなと思います。

これからは、ユースセンターだけでなく、学ぶ環境の選択肢が増えていくと思うんです。もしかしたら、学校に行かない子が増えるかもしれない。そうなっても、私は子どもの頃から学校が好きなので、先生も子どもも行きたい学校であり続けるために、何かしたい。また先生に戻るのか、外から関わるのかはわかりませんが、ずっと学校を大切に思っていくと思います。

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