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財務は成長速度のペースメーカー ──予算を通した組織づくりのために

もともと、スタートアップと関わる機会が多かった木村 康宏。官庁の受託調査や、IT企業のコンサルをしていたところから一転、ひとつの出会いをきっかけにfreeeに入社することに。さまざまな仕事にアサインされた木村が、今の財務の業務にかける想いとは。freeeで成し遂げたい想いを語ります。

ベンチャーの中で、freeeは落ち着きがあった

(写真は、前職時代の木村)

野村総合研究所(NRI)で官庁の受託調査のほか、通信会社やIT企業のコンサルを行っていた木村。ひょんなことからfreeeのメンバーと出会います。

木村 「2013年くらいからfreeeの存在は知っていました。そして2014年に開催された『スモールビジネスラボ』というイベントで、『個人事業主2.0』というクラウドを使いこなす新しいタイプの個人事業主についての調査結果を発表したのですが、そのときにCEO佐々木 大輔やCFO東後 澄人と出会ったんです。

さらに翌年、三菱東京UFJ銀行のビジコン『Fintech Challenge 2015』の事務局をご支援しているときに、たまたま東後と再会。freeeはそのときAPI連携のプレゼンで優勝したんです。それがきっかけで後日、飲みに誘ってもらいました」

前職の野村では官庁のベンチャー補助金の事務局をすることもあった木村。スタートアップと関わる機会が多かったと言います。

木村 「ベンチャーははたから見ると、とてもイケイケで、楽しそうな世界。僕はそういう性格じゃないので、向いてなさそうだなと感じていたんです(笑)。

でもその中でfreeeは僕の性格に向いている気がしました。というのも、飲んだときにずっと理屈っぽい話をしていて、冷静さと堅実さが伝わってきたんです(笑)。スタートアップにもこういう会社があるんだと。

そこで、転職自体考えてなかったのですが、誘われるまま面接を受けてみたんです。最終的に平栗 遵宜や野澤 俊通ら4人と会い、オファーをいただくことができました」

もちろんfreeeを選んだ理由には、ミッションへの共感や事業内容への期待もありました。

木村 「当時のミッション『スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるよう』にも惹かれましたね。中小企業のIT化・クラウド化を実現するのも、社会的な意義がわかりやすくていいなと。

また前職では中小企業向けのクラウドツールの販売戦略についてのコンサルなどもやっていたんですけど、大きい会社でうまくいってるケースが、ほぼなかったんです。

そのころから『クラウドやるぞ』と特化して始めた会社が、マーケットをつくって、役割を担っていくんだろうと感じていました。そう考えるとfreeeはぴったりでした」

財務という業務、そして数字に込めた想い

(登壇中の木村)

2015年10月にfreeeに入社し、経営企画、GR(政府渉外)、財務・経理・IR、個人事業主の事業企画、広報などさまざまな仕事にアサインされた木村。

木村 「18年の夏前までは主に経営会議の事務局とGRをやっていたのですが、日中はほとんどピン芸人として会社の外にいたので、『俺どこの会社の人だっけ?』と感じたこともありました。やりがいはありましたが、ちょっと寂しかったですね(笑)」

もう少し社内の仕事に関わりたいという木村の想いは届き、2018年7月に財務の仕事にアサインされました。

木村 「財務の仕事はひと言でいえば、事業計画をつくって管理すること。freeeもそうですが、SaaSではARR(アニュアル・リカーリング・レベニュー、年間経常収益)など独自の指標に基づいたKPIの設定が肝心ですね。

僕はfreeeが上場準備を始めたころから、具体的には19年度予算の最後の詰め作業から事業計画に携わっています」

そこから丸2年、一番近い距離で上場に関わった木村。freeeを勢いある若いベンチャーから、上場審査に耐えうる堅実な企業にするべく、綿密な事業計画を仕上げていきました。

木村 「積み上げビジネスなので、基本的に成長するのが当たり前なのですが、どれくらいが良い感じのストレッチ度合いなのかの塩梅が難しかったです。それまでのfreeeの事業計画は、成長力を重視した非常にアグレッシブなものだったので、堅実さとのバランスを探りました。

一般的に、会社が小さいときは野望だらけの計画でいいと思うんです。しかし会社が徐々に大きくなると、“当たる”事業計画にしないといけない。とくに上場するなら、数字にコミットしてその通り実現させるのが大切です」

具体的には、細かい数字を積み上げていきました。

木村 「数字は本当に達成できるのかどうか、一つひとつ確認していきました。あとは計画を実現するために、最終的にいくらの売り上げで着地するって見込みを経営会議でこまめに報告しました。毎日ちまちまと地道な計算をして、数字を出しましたね。

そのほかKPIや会計指標についての社内ルールが、かなり暗黙知化してしまっていたので、ガイドライン化してジャーマネたちに共有しました。

これにより都度判断していたものが、整合性のあるルールのもとで判断されることになりました。この作業は一回やるとかなり楽になりました」

CFO東後のもとで、細かい仕事を行ってきた木村。とくに各部門への予算の配分には神経を使いました。

木村 「セールス・マーケ・開発・support・バックオフィスなどにバランスよく投資していく必要があり、その考え方も会社のフェーズに合わせることが重要になってきます。また経営側としてポリシーを持って、部署側の意見とぶつけ合わないといけません。数字をもとにして、いろいろな部署と正しく喧嘩するのが理想の関係性だと思います」

事業計画表に並んだ無機質な数字にも、経営視点から見ると想いが詰まっているといいます。

木村 「予算を表した数字はスタート地点なんです。たとえば開発サイドの数字が例年より高いとすると、それは『今年はミッションの達成のために、開発を強化するぞ!』という会社としての姿勢を表しているので。

財務としてはどの数字に、どれだけ意思を込めるかが大切ですね。それを各部門にも感じ取ってもらえるように」

前職とのギャップに悩んだ日々

(上場時。前列、左から二番目が木村)

freeeの上場にもっとも近い位置で関わった木村ですが、個人的には前職との働き方の違いに苦労したと言います。

木村 「野村時代はプロジェクトごとのアサインだったので、プロジェクトを超えてチームで動くことが基本的にはなかったんです。個人商店の集まりで、達成しないといけないチームの数字などもありませんでした。だから正直、組織の中で泳いだことがなかったので、苦手感はありました。

自分で社内を調整して物事を進めるのも、いわゆる上司を持ったのも初めてでした。コンサルはお客さんの意思決定をサポートする仕事なので、最後はお客さんが組織内の力学でものを動かし決めるわけです」

だからこそ、はじめはfreeeで何をどこまで本音で相談したらいいかもわからなかったと言います。そういった人間関係的な部分を、木村は少しずつ身につけていきました。

さらに当時はビジョンやミッションの重要性も感じていませんでした。

木村 「なぜ目指す姿が明文化されていないといけないのか、わからなかったです。ビジョンなんて必要ないと思っていたし、『必要な行動は合理的に考えればこれとこれ、以上』みたいな感覚で生きてきました。完全なスキルベースで、個人技ですね。

今はビジョンの大切さが身にしみてわかります。意識していた方が、大きな意味でこの方向で働いていて間違いないか確認もできます。安心して働くための判断軸であり、戻ってくる場所です。まだまだ自分の目標などを開示するのは、照れてしまう部分もありますけどね(笑)」

そう思うようになったのは、freeeがミッションに対して疑念がないことに由来しています。

木村 「まず事業内容的に『これは社会のためになりそう!』という気持ちになれることが多いですね。反対に『あれ、俺何やってるんだっけ?』とはなりづらいです。この事業を推進すればきっと世の中のためになると信じられるし、変な疑問を持たずに取り組めれば仕事により打ち込める環境は整っていると思います」

またいろんなことに対して、最初の1社になろう、ベストプラクティスになろうという気概があるといいます。freeeのカルチャーにもある『社会の進化を担う責任感』です。

木村 「ツールにしても、新しいものを積極的に使う姿勢も、そういう会社っぽくていいですね。またプロダクトだけじゃなくて資金調達スタイルも、IPOを海外基準にしたことにもこだわりを感じました」

大切なのは、“良いペースメーカー”になること

財務の業務に携わって2年が過ぎた木村。財務の仕事は難しいけれど、やりがいがあると言います。

木村 「難しいですよ、ちゃんとしないといけないので。上場も済ませた今は、しっかり事業計画を立てて、それを達成できるように運営してくことが大事です。だからコミットした数字を達成することが、最低ラインですね。ミッション実現のためには、現実的かつ期待されるような事業計画が必要です。そういった意味で、やりがいと危機感があります」

このような考えになったのには、木村の持論がありました。

木村 「会社が正しくサービスを広めていくのに適したペースってあると思うんです。肌感から言うと、遅すぎても急ぎすぎてもダメですね。世の中を変えるのには、絶妙に無理しているくらいがちょうどいいと思います。

財務はその中で、成長速度のペースメーカーを担当してると思うんです。事業はマラソンなので、良いペースを事業計画で刻んであげることが大事です。良いペースメーカーになることがミッション実現に一番大事だと思います」

これからのfreeeでの目標は、成長のための良い事業計画をつくることと、予算を通した組織づくりだと言います。

木村 「財務的にはひとまず、絶妙にストレッチな計画づくりを通して、freeeの成長速度を最大化したいです。あと、みんながハッピーに予算を考え、主張し、使える組織ににしたいですね。

単にこれとこれとこれやるからお金いくら欲しい、じゃなく、『こういうゴールが必要で、そのためにこういう考えで、いくら投資することが正当なのだ!』と、みんなが自分の言葉で語れる会社が健全だと思います」

木村はこれからも財務として、周りの仲間と共にfreeeの成長速度をさらに加速させていくでしょう。

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